大英帝国騒乱記AAR
1939年3月末日 緊急閣僚会議 †
さて諸君、忙しい中よく集まってくれた。







………
本日は諸君に重大な決定を知らせねばならない。
……重大な知らせ?
気になりますな。
まさか先代や先々代のようにトンチキな真似を……(ヒソヒソ)
いや、さすがにそれはないだろう……(ヒソヒソ)
が、本題に入る前にまずは恒例の現状把握からだ。
始めたまえチェンバレン。
は。不肖チェンバレン、報告を務めさせていただきます。
ですがその前にひとつ注意点が。
まことに申し上げにくいのですが、今からご報告する内容は2月初め時点のものでして。
なので現在の状態とは多少の食い違いがありますがご了承ください。
それで結構だ。
要するに区切りの良いセーブデータが残ってなかったんだな(ヒソヒソ)
だろうなあ(ヒソヒソ)
黙れこの野郎。

(´・ω・`)ごめん。
えー、では政体から。

ご覧の通り、我がイギリスは依然として自由経済派を維持しております。
ご存じの通りドイツの脅威が日に日に増していることから、常備軍、タカ派、介入主義へと戦時を意識した調整が進んでおります。
閣僚は多少入れ替わっておりますが、そう大規模な変更はありません。
同盟関係については以下の通りです。

連合国は合計二十七カ国の大所帯となっていますが……
主要各国の工業力を眺めると何とも不安な気分になれます。
イギリス | 90/86 |
---|
フランス | 87/87 |
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インド | 48/40 |
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カナダ | 48/38 |
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オーストラリア | 40/32 |
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他の国となると基礎工業力が良くて10台前半、大半は一桁という有り様です。
そして内政については以下の通りです。ごちゃごちゃしていて見辛いですがご容赦を。

現在も工場を全力で生産中です。
人的資源については今まで軍隊を一切生産しておりませんのでかなりの余裕があります。
我が国を含めた各国の戦力は以下の通りです。上位五カ国のみ掲載しました。



………
………
えー、発言よろしいでしょうか。軍関係について私から補足があります。
申してみよ。
はい。陸軍は39年式歩兵の研究こそ終えておりますが……
現在配備されている歩兵師団は全て一次大戦型です。
何せ工業力は専ら工場生産に費やされていますから改良が全く進んでおりません。
その点に関しては空軍も同様です。全航空隊が依然として旧式のままです。
海軍も空母航空隊が……
………
つまりまとめると、だ………
我が国の現有戦力は3年前と比べて何ら強化されていないどころか、数を考えれば弱体化すらしている、ということだな?
仰る通りです。
結構。では、そろそろ本題に入ろうか。
チェンバレン、続きを。
はい。
今月の15日にドイツがチェコスロバキアを併合。

次いで24日、ドイツはリトアニアへメーメル割譲を要求。

リトアニアはこの要求に屈し、メーメルをドイツに譲り渡しました。
そして26日にはイタリアがアルバニアへと宣戦を布告。

ご覧の通り彼らは領土的野心を剥き出しとして拡張路線を突き進んでおります。
そこで今日の本題は………

この件をどう処理するかということだ。







………
連合国の、そして我が国の窮状についてはこれまでの説明の通りである。
仮に我らがポーランドを保護し、遠からずドイツと交戦することになったとしよう。
その場合、しばらくは仏独国境でマジノ線を境にして両軍が睨み合う格好となるだろうが……
いずれドイツはマジノ線を迂回してフランス領に雪崩れ込んでくるものと思われる。

この程度の戦力でドイツの侵攻を阻めるだろうか? まあ、無理だろう。
ならば我々が援軍を送り、フランスと共にドイツの侵攻を防げるかといえばこれもなかなか難しい。
絶対に無理とは言わぬがな。今から全力で陸戦力の拡充を図れば案外と凌げるかもしれん。
それはともかくとしてフランスがドイツの手に落ちたとしよう。
ドイツ空軍はブリテン島へと大挙して飛来してくること請け合いだ。
これを迎撃しきれるかといえば……まあ、案外と可能な気はするが、苦しい展開となるのは間違いない。
可能なんですか?
陸か空かどちらかに絞ればな。数年掛ければ普通に打ち倒す自信はある。
だが、正直なところ今の時期から戦争に巻き込まれるのは避けたい。
泥にまみれて耐え凌ぐような戦争など御免被りたいからな。
よって、ポーランドは見捨てる。
いや陛下、それは。
ますますドイツを増長させることになりませぬか。
それに我が国が譲歩したとしてもドイツの方から仕掛けてこぬとは限りますまい。
諸君らの言うことにも一理ある。だが、これについて余は判断を曲げぬ。
増長だと? 構わん。させておけばいいい。
ドイツの方から仕掛けてくる? それも構わん。いずれにせよ時間は稼げることに変わりはない。
だが、今年度中に開戦するのはあまりにタイミングが悪いのだよ。
何せ我が国は全く戦争の準備が出来ていないのだからな。
しかしポーランドを見捨てては国民が納得いたしますまい……

不満度の上昇などたかが15%ではないか。何か問題でもあるのか?
………
………
あんまり問題……無い?
15%……あの時と比べて約1/7か……
別に暴動が起こる数字じゃないよなぁ……







問題ありません、陛下!!!!!!!!
だろう? では決まりだな。
―――そしてポーランドはあっさりと見捨てられた。

大英帝国騒乱記 1939年 Part2 予定調和